鬼人幻燈抄

鬼人幻燈抄

時は天保十一年(1840年)。大飢饉により人心が乱れた世において、鬼が人の姿に化け、戯れに人をたぶらかすようになっていた。江戸の街から遠く離れた山間の集落・葛野(かどの)。この集落に、甚太と鈴音という兄妹が暮らしていた。幼い頃に、ある理由から葛野に来たよそ者の二人だったが、皆に受け入れられ仲睦まじく日々を過ごしていた。集落には、「いつきひめ」と呼ばれる巫女がおり、成長した甚太は巫女の護衛役を務めるように。そしてある日、甚太は鬼の討伐に赴いた森で、遥か未来を語る不思議な鬼に出会う----。巫女の護衛役として死と隣り合わせの甚太、その身を心配しつつも健気に明るく兄を送り出す鈴音、巫女「いつきひめ」として責務を果たす中、鬼に命を狙われる白夜。三人の運命の歯車が重なり、そして狂う時。人と鬼、長きに渡り時代をも巻き込む大きな災いが降り注ぐ。江戸から平成へ。刀を振るう意味を問い続けながら百七十年という途方もない時間を旅する鬼人の物語を描く、和風大河ファンタジー。
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鬼人幻燈抄 第21話

鬼人幻燈抄 第21話

第21話 願い(後編)/激しい雨の中、甚夜と土浦が対峙した。甚夜の異形の左腕が脈打った、その刹那、彼らはお互いの記憶を共有し過去を知る。甚夜と土浦は、通じ合うものを見つけると同時に、お互いにこの戦いは譲れないものだと悟る。茂助、はつ、おふう、夕凪…。これまで出会った鬼たちの望みに思いを馳せた甚夜は、土浦がなぜ壊れない体を欲したのか…。
鬼人幻燈抄 第22話

鬼人幻燈抄 第22話

第22話 二人静/時は明治五年(1872年)、四月。江戸を離れた甚夜は、京都三条通で蕎麦屋「鬼そば」を営みながら、娘の野茉莉と暮らしていた。野茉莉は九歳になっていた。すっかり甚夜と古馴染みとなった“付喪神使い”の秋津も、たびたび店を訪れてくる。そんな京都では近頃、鬼が増えていた。ある夜、甚夜は鬼に囲まれていた、向日葵という名の少女を助ける。
鬼人幻燈抄 第23話

鬼人幻燈抄 第23話

第23話 林檎飴天女抄(前編)/ある日、甚夜は秋津から、お狐様を祭る荒妓稲荷神社に伝わる天女譚を聞かされる。天女を空へと返すために使った鉄鏡が神社の御神体となっているが、なんでも昨夜、鏡が安置されている本堂から漏れる光、そして人影を見た者がいるという。興味を示した甚夜が神社を訪ねると、出くわした女性から「ようやく会えた」と声をかけられる。
鬼人幻燈抄 第24話(最終話)

鬼人幻燈抄 第24話(最終話)

第24話 林檎飴天女抄(後編)/未来から明治時代の京都へとやってきた薫は、「朝顔」と名付けられて甚夜のもとで寝泊まりをしていた。朝顔が天女ならば、天と地を繋ぐと言われている「狐の鏡」に帰り道の手がかりがあるかもしれない。荒妓稲荷神社の神主・航大は鏡の力を使えば、朝顔が願う場所、望む時へと帰ることができると説くが…。